伊本飛花の悲観日記。 太宰治と鬼束ちひろが好き。

September 30, 2012

災難を待っている

" 拝啓。
死ぬことだけは、待って呉れないか。僕のために。君が自殺をしたなら、僕は、ああ僕へのいやがらせだな、とひそかに自惚れる。それでよかったら、死にたまえ。僕もまた、かつては、いや、いまもなお、生きることに不熱心である。けれども僕は自殺をしない。誰かに自惚れられるのが、いやなんだ。病気と災難とを待っている。けれどもいまのところ、僕の病気は歯痛と痔である。死にそうもない。災難もなかなか来ない。"

私が太宰治の"ダス・ゲマイネ"が好きなのは、馬場の手紙の、この一節があるからだと思う。
特に「自惚れ」の個所より、「災難」の個所。


私も、災難を待っていた。
自分で死ぬことも幾度か試みたが、結局成しきれず、
もし成し遂げたら、自分の遺体は誰が片付けるのかなどと悩み、
ならいっそ、天災でも起きて、屍ごと流し去ってくれないか、
そんな風に思っていた。

そうして、3月11日、震災が起きた。

泣きながら被災地に向かって、倒壊家屋の片付けを手伝ったけど
結局、自分の思考は許されない気がした。

それから、ずっと、こんな感じ。

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